家が腐る!?冬に進む“内部結露”の恐怖

北海道の冬は長く、厳しい寒さが続きます。
そんな中で、住宅にとって最も深刻なダメージを与えるのが「内部結露(ないぶけつろ)」です。
一見きれいな壁や天井の内側で、じわじわと湿気がこもり、断熱材や木材を腐らせている――そんな「見えない腐敗」が実際に進行しているケースが少なくありません。

外壁や窓の結露は目に見えるため対策が取りやすいですが、内部結露は気づいたときには手遅れということもあります。


内部結露とは、壁の中や天井裏など、普段見えない構造部分で発生する結露のことを指します。
室内の暖かい空気に含まれた水蒸気が、壁の内部で外気に触れる部分に達したとき、急激に冷やされて水滴になる――これが内部結露の発生メカニズムです。

特に北海道のような寒冷地では、外気と室内の温度差が20℃以上になることもあり、壁体内の結露リスクは非常に高くなります。
国土交通省の住宅調査でも、**「断熱施工が不十分な住宅では、冬季に壁内湿度が100%を超えるケースがある」**と指摘されています。


内部結露は単なる「湿気」では終わりません。時間の経過とともに、住宅の構造そのものを劣化させていきます。

1. 木材の腐朽(ふきゅう)

壁内に湿気がこもると、木材に含まれるセルロースがカビや菌によって分解され、柱や梁が腐る危険があります。
目に見える表面が無事でも、内部が空洞化してしまえば耐震性も大きく低下します。

2. 断熱材の劣化

水分を含んだ断熱材は性能が急激に落ちます。
グラスウールやロックウールなどは、濡れると空気層が潰れてしまい、本来の断熱効果が失われます。
その結果、「暖房をつけても寒い」「壁が冷たい」といった症状が出てきます。

3. カビ・ダニの発生

湿気がこもった壁の裏側では、カビが繁殖し、ダニの温床となります。
これが室内の空気中に広がると、ぜんそく・アレルギー性鼻炎・肌荒れなど、健康被害を引き起こすこともあります。


内部結露は古い家だけの問題ではありません。
次のような条件に当てはまる住宅は、注意が必要です。

  • 築15年以上で、断熱材や防湿シートの劣化が進んでいる
  • 高気密・高断熱住宅だが、換気計画が不十分
  • リフォームで内窓や断熱材を追加したが、壁内の湿度バランスを考慮していない
  • 北側の部屋押し入れの裏側など、日射が少ない場所が多い

つまり、「しっかり断熱したつもりの家」でも、湿気の逃げ場がなくなれば内部結露が起こるということです。


内部結露を放置した場合、被害は年単位で進行します。
柱や土台が腐食した住宅を修繕する場合、100万円~300万円以上の工事費がかかることも珍しくありません。
また、断熱材が全体的に劣化している場合は、壁や天井の解体が必要となり、費用も工期も大きく膨らみます。


  1. 換気を徹底する
     冬でも1時間に1回、数分の換気を行うことで湿気を逃がします。熱交換型換気システムを使えば、室温を下げずに換気が可能です。
  2. 加湿のしすぎに注意
     室内湿度は40~60%が目安。過剰な加湿は壁内結露を悪化させます。
  3. 壁や天井の点検を依頼する
     塗装やリフォーム業者に赤外線カメラや水分計で診断を依頼することで、壁内の異常を早期に発見できます。
  4. 断熱リフォームは“湿気の流れ”も設計する
     断熱性能だけでなく、防湿層・通気層のバランスをとることが重要。特に寒冷地では、結露対策を理解した施工業者を選ぶことが肝心です。

内部結露は、静かに進む「住宅の病気」です。
外から見えないため発見が遅れがちですが、放置すれば構造の腐食・断熱性能の低下・健康被害と、家も人もむしばみます。

見た目がきれいな家でも、中では腐敗が始まっているかもしれません。
冬の間にできる点検と湿度管理が、あなたの家の寿命を守る第一歩です。